Published on

球体関節人形に思いを馳せる

人間はパーツの集合体であるが、関節がなければその機能を果たすことができない。人間らしい動きは、手首、肘、肩といった関節部の動きの結果として、規定される。それはまるで、肩を片方上げようとしたら、もう片方の肩を下げるような具合で。

しかし、人形は違う。肩を片方上げるだけでいい。そこに、人形と人間の大きな違いがある。

人形は、ひとつ一つの部位が独立した関係を保ちつつ、奇妙なハーモニーを奏でる。一方で、人間は他の関節との相互作用を生み出しながら動く。それはかつて、人間がポリス的動物であると遺したアリストテレスのように、人間は社会の中でしか生存できないことを遺伝子レベルで体に刻み込んでいるのだ。

それは、悲しくもあり、美しい。