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僕と、僕を囲む世界は、幸福だ

3年前のきょう、僕は殺された。

ものの見事だった。

純真無垢な殺意の証左は、ためらいなど微塵も感じさせないほど、(はや)く、鋭く、濁りなく、なめらかだった。

一瞬の出来事だった。

浅葱(あさぎ)色の着流しから生える四肢の駆動は、吐息の音が聞こえるほど静かで、美しかった。

あざやかな出来事だった。

一連の動作を走馬灯のように俯瞰すると、灰色の景色はそれ以外の色彩へと(せき)を切ったように移り変わった。

そう、生ける屍と化していた存在は、生ける(なにがし)へと変容を遂げた。

このようにして僕は、殺された。

だけど僕は、たぶん、僕を囲む世界も、幸福だ。